薄青く晴れた空。


つぼみをつけた桜の木。


風に舞い上がる、校庭の砂。




そんな早春の景色の中

今日も誰よりも速く駆けぬける

あいつの姿。






俺たちの未来はどこまで続いていくんだろう。


恋をしたり

社会に出たり


大人になっていくにつれ

俺と健吾の差は、開いていくのかもしれない。



だけどわかったんだ。


それは“置いて行かれる”ということじゃないんだって。




走れない俺の代わりに

あいつが走ってくれるから。





あいつの瞳に映る世界――



それが

俺の世界だ。