「ごめんね、アキ。
しかたないことなのよ……」


オカンは必死で俺をなだめようとしていた。


機嫌をとる、優しい声。

俺をよけいにイラ立たせる、悲しい優しさ。



「いやだ! 健ちゃんとランドセル見せあいっこするって、約束したのに!」


「退院して元気になったら、健吾くんといっぱい遊べるから、ね?」


「元気になったらって、いつ!? ちゃんとお薬飲んでても、元気になんかならないじゃん!」



その言葉に、オカンが傷ついた顔をしたことは、子どもの俺にも見て取れた。