もう逃げ場はない。
プー、プー、と機械音の鳴る携帯に、俺は
「失礼します」
と嘘のあいさつをして、健吾に携帯を返す。
「佐山さん、何の用だって?」
「ん? あ~……こんどまた健吾と遊びに来いって」
「そっか」
俺の言い訳に納得したのか、健吾はそれ以上追及してこなかった。
「……ちょっと眠くねぇ?」
30分ほど時計の針が進んだのを見計らって、俺はそう言った。
「寝るか、アキ?」
「んー。悪ぃな」
「じゃあ俺もそろそろ帰るわ」
立ち上がった健吾に、俺は手を振って布団をかぶる。
そして健吾が家から出て行ったのを確認すると
むくっと起き上がり、佐山さんの待つゲーセンに向かった。



