「……佐山さんの彼女の発言とは思えないっすね」
「佐山と月ちゃんは、どことなく似てるじゃない?
でもアキくんみたいな男の子はあたしの周りにいないから、新鮮なんだ」
……なるほどね。
つまりこの人は、つまみ食いがしたいだけなんだ。
佐山さんとは似ても似つかない、俺みたいなタイプを。
彼女は俺の手を取ると、それを自分の胸に持っていく。
手のひらに伝わる、やわらかさと体温。
俺はされるがまま、ぼんやりとその光景を見ていた。
再び唇が重なったけれど、抵抗しなかった。
得体のしれない感情が、俺の中で渦巻いていたから。
それは、歪んだ優越感だったのかもしれない。
……この人は佐山さんの彼女。
“健吾が憧れている人”の彼女なんだ。



