「――アキくんってさ」
彼女は俺から唇を離すと
至近距離で目を合わせながら言った。
「彼女作らない主義なんでしょ?」
「どこ情報っすか、それ」
「みんな噂してるよ。“橘アキは誰の告白もOKしない”って。
“もしかして月島健吾とデキてる?”ってね」
鼻で笑った俺は、コーヒーの味を消すように、ウーロン茶を飲んだ。
あの程度のカフェインの量なら、発作の心配もないだろう。
佐山さんの彼女は話を続けた。
「まあゲイ説は冗談だけど。
でも実際、月ちゃんとアキくんの2人って、目立つんだよね。
あたしの周りの女子も、月ちゃん派とアキくん派に分かれてるし」
ちなみにあたしはアキくん派。
と、猫なで声が耳元で響いた。



