本当は、カフェインは発作を誘発するから医者に止められている。 だけど彼女はしつこく、俺にコーヒーを勧めた。 「おいしいのに~。飲んでみなって」 「いや、マジで――」 「ちょっとくらいなら平気でしょ?」 “ちょっとくらい”? その言葉の意味を理解するより先に 口の中に、独特の苦みが広がった。 唇に触れるやわらかい感触。 生温かい舌が、俺の舌に絡みつく。 ……『ファーストキスは、コーヒーの味』 なんて、笑えねぇよ。 どうして佐山さんの彼女と俺が、キスなんかしてんだよ。