正直、複雑な気分だった。
健吾があの佐山さんに憧れていると知って。
いや、男なら誰でも、多かれ少なかれ、あの強さに憧れるのかもしれない。
強靭な肉体も
他を圧倒する力も
こんな俺には、決して手に入れられないものだ。
そしてきっと
健吾には可能なものなんだ。
――『佐山さんって、まじでカッコイイんだぜ』
じゃあ俺は?
健吾から俺は、どう見えている?
すぐ目の前にある健吾の背中が
やけに遠く思えた。
桜中に到着すると、俺たちは校門の近くで座りこんで
噂の“すっげーケンカが強い、俺らとタメの男”を待った。
……どんな奴なんだろう。
やっぱり佐山さんみたいな感じかな。



