「悪ぃ。怒んなって」
「怒ってねーよ。俺が怒ることじゃねーし……菊池も、怒ってなかったし」
「……そっか」
俺は菊池から預かったチョコを、健吾の胸に押し付けた。
「付き合う気がねぇなら、ハッキリ言ってやればいいじゃん。
こそこそ逃げて、お前らしくもねぇ」
健吾はチョコを受け取ると、長いため息をついた。
「うん、そうなんだよな。自分でも思う。俺らしくねぇって。
付き合ってくれって言われたとき、あいつのこと嫌いじゃねぇからオッケーしたんだけど……」
正直、めんどくせぇ。
くぐもった声で、健吾はそう言った。
中1男子なんて、女子に比べればずっとガキだ。
恋愛においての男女の温度差に、きっと健吾はうんざりしていたんだろう。
「でもこのままじゃダメだよな。
ハッキリさせなきゃ、ミヤビに悪ぃし」
健吾は頭をかきながら、空をあおいだ。



