俺の体にはいろいろ制限がある。


普通の人間ならどうってことないモノが

俺にとっては、病気を悪化させる引き金になる。


糖分の過剰摂取もそう。


好き嫌い以前の問題で、食えねぇんだよ。



「見~ちゃった」


いたずらっぽく言いながら、ひとりの女子が教室に入ってきた。



「何を見たって?」


無表情でたずねると、その女子はキャハッと高い声で笑った。



「愛の告白現場~」


「……あっそ」



明るく染めたストレートの髪に、こなれた化粧。


同じ1年の中でも、ひときわ目立つそいつの名前は、

“菊池ミヤビ”。



健吾の、初めての彼女だ。