「お前ら、こんなとこで何してんだよ。
早く学校行けっつーの」
「月島先輩は、これから学校っすか?」
「あぁ。アキと一緒にな」
健吾はそう言って、俺の方をあごで指した。
「えっ。“アキ”って……
じゃあ、この人が橘先輩!?」
俺の名前を聞いた中学生たちが、なぜか急にざわめきだす。
「すげーっ!!」
「月島先輩と橘先輩のツーショットだぜ!?」
「俺、あとでクラスの奴らに自慢しよっと!」
おいおい、俺は珍獣かよ……。
何のリアクションも返さずに白けていると
健吾がクックッと肩を震わせて笑いだした。
「アキ、人気者じゃねぇか」
「うるせーよ。信号、青だぞ」
「あー、わかったって。
んじゃお前ら、またな」
「はい!失礼しまーす!」
やたら元気な声を背に、俺らを乗せた単車が走りだす。