俺たちは月明かりを頼りに、山道を下った。
足をケガしていた健吾に、俺は肩をかしてやった。
風が吹くたび、ごうごうと渦巻くような音が鳴る。
揺れる木の枝はどこまでも黒く見えて、まるで異次元に迷い込んだようだった。
だけど怖くはなかった。
入院生活のおかげで、暗闇には慣れていたから。
それに、今はひとりじゃない。
となりには健吾がいる……。
「あ、あのさ」
落ち着きを取り戻した健吾は、バツが悪そうにつぶやいた。
「さっきのこと、誰にも言うなよ。
別に俺は泣いてねぇし、助けてもらいたかったわけでもねぇからな」
俺は笑いそうになるのをこらえて、うなずいた。



