「健ちゃんっ!!」
俺は坂道で転びそうになりながら、無我夢中で声の方に走った。
「ア…アキちゃん……?」
うずくまっていた健吾が、涙でグシャグシャになった顔を上げる。
小柄なその体は泥で汚れ
足に大きなスリ傷ができていた。
「アキちゃん……本物?
なんで……」
「な、なんでって……」
気づけば、俺もなぜか涙ぐんでいた。
とたんに恥ずかしくなり、俺は吐き捨てるように言った。
「健ちゃんが、俺を呼んだからだろ!」
「………」
そのときの健吾の顔は、今でもハッキリ覚えてる。
ボロボロ涙を流してるくせに
すっげぇ嬉しそうに笑って。
「うん……だって
アキちゃんならきっと、来てくれると思ったんだ」
アキちゃんなら、きっと
来てくれると
思ったんだ――…



