健ちゃんの声だ!!
俺はその方向に走り出そうとして、とっさに足を止めた。
「怖いよぉー……助けて」
それは、俺が初めて聞く、健吾の泣き声だった。
後にも先にも、健吾が泣いたのを見たのは、このときだけだ。
「……お父さん。お母さん。せんせぇ。神様ぁ」
思いつく限りの名前を呼び、助けを求める健吾。
泣くところなんか想像もできなかったあいつが。
いつも強気で
みんなの人気者で
遠い存在になったと思っていたあいつが――
「助けてぇ……アキちゃん」
「……っ」
「アキちゃん……
……アキちゃーん!
助けて!!
アキーーっ!!」



