LIFE!(LOVE and DAYS・番外編①)


月が明るい夜だった。


昼間なら何も感じない建物のひとつひとつが、やけに大きく見えた。



山に入ると、辺りは塗りつぶしたように真っ暗だった。



どんどん細くなる山道。


自分より背の高い草が、行く手を阻む。


靴下をはき忘れてきたせいで、靴と足の間に砂が入って、ジャリジャリと気持ち悪い。



けれど俺はそんなこと気にもせず、上だけを見て歩いていた。


“ほっさ”のことすら、このときは忘れていたんだ。





「……ひっく…」


かすかな声が聞こえたのは、ずいぶんと登ったころだった。