「そっか。じゃあ仕方ねぇな」 健吾は少し寂しそうに言うと、入ってきたときと同じ窓から教室を出て行った。 事件が起きたのは、その日の夜だった。 「……いえ、うちには来てませんけど。ええ」 風呂から出た俺は、電話で誰かと話すオカンの声を聞いた。 受話器を置いてふり返ったオカンの顔は青ざめていた。 「どうしたの?」 「アキ、健吾くんがどこに遊びに行ったか知らない?」 「え……?」 「放課後にランドセルを置いて出て行ったきり、まだ帰ってこないらしいの」