久しぶりに袖を通した制服は

かすかにクリーニングの匂いがした。



……似あわねぇよなあ。

鏡に映る学ラン姿を見て、我ながら思う。




「わざわざアキのこと迎えにきてくれて、ありがとうね」


「いや、全然。学校までの通り道っすから」



リビングからもれてくるのは

香ばしいコーヒーの匂いと
聞き慣れたふたつの声。


声の主は、俺のオカンと

健吾だ。



「学年は違うけど、アキのことよろしくね」



オカンのその言葉と同時に、俺はリビングの扉を開けた。