人混みを抜けると、猫を囲むようにしていたのが分かった。


姫は猫に近付こうとする。



「あぁ?何だ、コイツ!見慣れないな」

「1-Dに来た、転入生だろ」


誰かが言った。


でも、姫の耳には届いていない。



「転入生が何のようだ!こっちは、この猫を如何してやろうか悩んでんだ!」


如何やらこの人は、四葉寮ではないみたいです。


「秋羅、来地。おいで」


姫がそう言うと、2匹いた猫が姫の元に向って駆け出した。


そして、姫の胸に飛び込んできた。


猫の頭を撫でると喉を鳴らして喜ぶ。


「その猫…お前のか!転入生」

「すみません、自分の猫が何かをやらかしてしまったみたいで…」

「謝って済む問題じゃねーんだ!こっちは顔を引っかかれてんだ」


顔のあっちこっちに赤い傷がある。


そこまでやられるほど、猫に無抵抗だったのか。