「探していただけると、嬉しいです」

「うん、解った!」


凪斗はそう言い、携帯を取り出した。


「あっ!僕だよ。あのね、四葉寮に猫が迷い込んじゃったんだ!皆にも言って探してくれる?うん、ありがとう~!猫は、転入生のペットだから傷つけないでよ!ひーちゃん!探してくれるって」

「ありがとうございます!それと…ひーちゃんって」


自分の事を呼ばれているのか不思議な感じがした。


それに、こんな風に呼ばれる事などないだろう。


「天月先輩は、いろんな人を"ちゃん"付けで呼ぶんだ…俺も、"りょくちゃん"」


緑は何処か遠くを見た。


言っても直してもらえなかった。


いや、流されて忘れられてるから無駄だと思い諦めた。



「大丈夫ですか?新川」

「…あぁ、大丈夫だ!それより、早く探すんだろ」

「はい!大丈夫かな…」