「……俺さ変なんだ。サクラが学生の時は我慢できたのに同棲始めたらサクラに触れたくて抱きたくて我慢できなくて……」



それは今回の波乱のきっかけとなった話で和人は私の体をさらに強く抱き締めた。



「一緒に寝てって言われても……また手を出しそうになってソファーに寝たんだ。でもサクラを傷つけちゃって……」


「……我慢……できなかったんだ」


「うん。でもサクラから結婚を考えさせてって言われてから目が覚めた」



え……?



「婚約してるしサクラは何があっても俺から離れていかないんだって勘違いしてた。あの夜、サクラが離れていくかもしれないって思ったら……」



言葉につまる和人。私は胸元に置いていた手を和人の頬にあてて顔を見上げた。



「サクラを失うくらいなら自分の欲なんていくらでも抑えられる。サクラから拒絶されたら……心臓が痛くて言葉も出ないくらいきつい」




あの時……何も反応しなかったのは……



動揺していたから……?