マンションに着いて車から降りる。エレベーターまで二人並んで歩いている時……



やっぱり手は繋いでくれなくて……



淋しくてドキドキしながら和人の左手の小指だけギュッと掴んだ。



一瞬ピクッと体が反応したような気がしたけど私は俯いたままで和人の顔は見れなかった。



掴んだ小指はほどかれて依然と同じように指を交差させてギュッと強く握ってくれた。




……嬉しい。何も言わないけどきちんと私たち心では繋がってるよね?



そう思っていいよね?



エレベーターに乗り込んでも無言。沈黙を破ったのは和人だった。



「……サクラ話ある」


「話……?」


「結婚のこと」



――あ。
私が結婚を考えたいって言った……和人の考え?



「和人……そのことなんだけど」


「待って。俺から言わせて」



撤回したかった私の言葉は遮られた。



私に話し掛ける言葉は優しさはあるけどいつもの和人じゃないし



どこか壁を感じる今……



和人が何て言うかドキドキしていた。部屋の鍵を開けた瞬間、繋いでいた手をほどかれた。




私たち、心だけはちゃんと
繋がってるよね……?





ソファーに座らせられてドキドキしながら和人が話してくれるのを待った。