「そうだな」 そう返事をして、涼は私の肩に回っていた自分の腕をよけて、立った。 その瞬間。 少し淋しい気持ちになった。 ううん。 きっと体調が悪くて心細くなっているせい……そう、それだけ。 そして、私も立とうとすると何かが、パサッ、と落ちる。 それは私が羽織らせれていた夏用のジャケットだった。