見えない罪と、月

「こればかりはどうにもならないからね。恨むなら父さん達を恨まないと」

「そんな事、出来る訳ないって兄さんが1番分かってるでしょ!?」

「そうだったね、悪かったよ。僕もあの2人は恨めない」


セリルの言葉を否定する訳でも肯定する訳でもなく、セイルはただそれだけを言う。

セリルはムキになり怒鳴る。彼にとって両親はかけがえのないものなのだろう。


「ほら、ぼさっとしていないで荷物荷物」


話題を変えるかのようにセイルはセリルに作業を促す。

新居に来てからまず最初にする事。それは数少ない荷物を片付ける事だった。

荷物を片付け終わる頃には、既に陽も落ちて闇が町を包んだ。

2人は簡単な食事をとり、それぞれの部屋へと戻った。