見えない罪と、月

「セイル・ウェマーにセリル・ウェマーか。兄弟かい？　良い名前だね」


更に笑顔を浮かべる女性。２人はそんな女性に苦笑いを浮かべた。


「そ、それはどうも……」

「あんたら運が良いね。丁度此処から１００メートル先の青い屋根の家、今空き家なんだよ。

あの家の管理者にはこっちから連絡するから、自由に使いな」


家までの地図を渡されて、役場を後にする２人。

地図の通りに来た家は２人で住むには少し広い。しかし風通しや日当たりは良好である。


「こんなに良い場所、そう滅多にないよね」

「多分ね」

「フィアーさえなければ、ずっと住み続けられるのにな」


ポツリ、とセリルは愚痴のように零す。