見えない罪と、月

にっこりと微笑む女性。返事を返すかのようにセイルも一緒になって微笑む。


「お前かあぁぁーっ!!」


女性は勢い良くセイルに飛び蹴りを喰らわせる。が、寸前でセイルは避ける。

その時、手にしていた紙袋をパサリと落とした。幸いにも中は飛び出ずに済んだ。

かわされた事よりも怒りの方が大きい女性は、未だに唖然とするセイルにパンチをする。

そこで漸くセイルは女性が自分を下着泥棒と勘違いしていると気付く。


「ち、違います! 僕はただ返しに来ただけで……」

「つべこべ言うな! よくもあたしの下着を盗んでくれたね?」


セイルの言葉には一切耳を傾けようとはしないようだ。

殴られた痛みを引きずりながら、セイルは次々と繰り出す女性の攻撃をかわした。