見えない罪と、月

警官を引き止め、下着泥棒が持っていた下着をどうするか聞くセイル。

その答えにセイルは警官に向かって首を縦に振った。

そのまま持っていくのは失礼だと思い、警察署でもらった紙袋にそれを入れる。

向かう先は被害者の女性の家。きっとまだ留守なのかもしれない。

留守でなければ下着を盗まれる事もなかったのだから。

1つ深呼吸をして、セイルは扉をノックする。


(帰って来ていると良いな……)


程なくして出てきたのは紺色の大きな瞳と同じ色のセミロングの髪を、

軽く1つに束ねた女性が姿を現す。歳はセイルと同じか少し下と言った所だろう。


「どちら様で?」

「えっと……下着を返しに来ました」


そう言ってセイルは女性に下着の入った紙袋を渡した。