見えない罪と、月

翌日、この兄弟にちょっとした出来事が起こった。

それは後に良い事になるのか悪い事になるのか、分からない事。

雲の量も少なく、濃い青が広がる晴れた空。

セリルが仕事へ出て言った後、セイルはのんびりと散歩をしていた。

すると目の前の家から出てきた40代後半から50代前半の男とぶつかる。


「あ、ごめんなさい」

「ふざけんなよ、全く……」


喧嘩も吹っ掛けられる事もなかったのだが……男は何処かそわそわしている。

そのまま別れたのは良いが、男の様子が気になったセイルは男の進む方向を見る。

丁度その時、ぱさりと何かが落ちる。それは紛れもなく女性の下着。

慌ててセイルは男を取り押さえる為に走り出す。

落とした事に気付いた男はそれを拾おうとした瞬間、セイルによって捕まってしまう。