見えない罪と、月

1ヶ月前、ヒジリと言う殺し屋に出会ってからと言うもの、

セリルは彼の事が頭から離れられなくなってしまっていた。

あの夜の翌日。隣町にてとある老人が殺されたという事が新聞に掲載された。

新聞によれば、この老人は数十年前に殺人を犯した人物。刑期は既に終えている。

そして現場には白い花弁と黒い羽根が落ちていたと、書かれていた。

この情報を見た瞬間にセリルの中での不完全な、確証は完全な物となった。

あの時聞いた殺し屋の会話、そしてこの新聞の情報。

セリルが出会えたのは仕事を終えた帰り道だったのかもしれない。彼はそう思った。

しかし同じ場所や近くの町でまた出没するとは限らない。

また会う気がすると言われたとはいえ、セリルはすぐにでも会いたかった。

そこからセリルは何時も以上に新聞を読み漁っていた。

ヒジリが出た位置から今どの辺りにいるのかを知りたいが為に。