この想いを君に…

「おかえり」

光さんのお父さんが玄関前に立っていた。

「ただいま」

光さんも控えめな笑みを浮かべて挨拶を済ませる。

「むっちゃんも、いらっしゃい」

前に病院で会っているから緊張する事はなかった。

「お世話になります」

あたしは笑って頭を下げた。



家の中は。

落ち着いた和式の造り。

畳の香りがどこからともなく漂ってくる。



「むっちゃん、荷物ごめん。
二階の部屋に持って行ってくれる?」

光さんはあたしが抱える荷物を見て謝る。

頷いて光さんの後を付いて行く。

部屋に入って驚いたのは。

いつ、光さんが帰ってきてもいいように。

マメに掃除や換気がされていて。

いつでも使える部屋になっていた。