学校の帰り。

悠斗と一緒に昔よく行った川沿いの桜並木を歩いた。

ここの桜はよく、パパにも連れて来てもらったし、悠斗の家族とも何度も訪れたけど。

悠斗と二人、来たのは初めてだった。



「結構、人がいるね」

人込み、とまではいかないけれど、割と人通りが多かった。

「はぐれるといけないから」

悠斗はあたしに手を差し出した。

あたしも手を出す。

ギュッ、と強く握りしめられた手は少し痛いけど、その強さに安心してしまう。



夕陽を浴びた桜並木は。

オレンジ色と徐々に染まる紺色が入り混じって、幻想的だった。

そんな幻想的な中、ゆっくり悠斗と歩く。



時間が止まればいいのに。