「おかえり」

玄関に入るとちょうど階段を上がりかけているパパにそう言われた。

「ただいま」

知樹は先に上がる。

そしてお風呂に入ろうとして…

肩を落とす。

桜に先を越されていた。

「隣で借りてくる…」

着替えを用意して知樹は再び外に出ていった。

…今行っても。

祥太郎も入ると思うけど？

あたしはそのままリビングへ。

ママと泰樹がコタツに足を入れて何やら話をしている。

その横を通ってキッチンへ。

コップに水を入れて一口飲む。

ちょっとスッキリ。



「祥太郎、どうだった？」

いつの間にかパパが後ろに立っていて驚く。

「…速かったよ。
もう、オジさんのくせに」

そう言うとパパは苦笑いをした。

「オジさんっていっても俺から見るとまだまだ若いよ。
けど、祥太郎も30だからな」

パパはクスクス笑いながらリビングに行く。

あたしも桜がお風呂から出てくるまでコタツに入った。

春、といっても、まだ寒い。

家族で他愛のない話をする時が一番ホッとするし、楽しい。