10キロのランニング。

祥太郎は家の前に戻ってきても平気だった。

「お前ら、もっと頑張って走れよ」

まるで期待ハズレ、という表情で祥太郎はあたしたちを見ていた。

「ま、また、たまに一緒に走ろうな。
それまでに体力はつけとけよ」

祥太郎はニコッと笑うと家に入っていった。



「…すげえ!」

あたしの隣で知樹は目を輝かせて祥太郎を見送っていた。

知樹の憧れのライダーは祥太郎だ。

確かに身近で凄い人だからね。

あたしは…パパ。

パパの引退した時をなんとなく覚えているけど。

いつも目の前を凄いスピードで走っていた。

カーブの入り方が抜群に上手くて。

小さい時から憧れている。