3月7日。



ホワイトデー7日前。



「ねぇ…創。」



「ん?」



「お返し…」



「は?」



「ホワイトデー…なにが欲しい?」



「…。」



創のバイト先の居酒屋にて、



あたしは前髪をちょんまげにし伊達メガネをかける、エプロン姿の創をカウンター越しに見つめながら訊ねかけた。



「ねぇ…」



「…菜々…美?」



「なに?」



「だ~か~ら…はぁ…」



キョトンとするあたしを見つめながら、創は大きなため息をついた。



「俺が欲しいのは“菜々美”。それ以外いらねぇ。」



「は?」



………



あた…し?



あたしはニヤっと意味深に笑う創を見つめながら目を見張った。