「おい。私を置いてどこに行くつもりなんだ?」 漆黒の長髪をふわりと優雅に揺らして、彼女は俺に尋ねた。 どこって……この時間は学校しかないだろ? 「学校だよ。……あの、キミのことは帰ってきてからでもいいかな?」 「…………」 黙ったままじゃわからないけど……反論しないから良いのかな? 「家から出ちゃだめだから」 こっくり、と頷くのを確認して、俺は〝また〟家を出た。