思わずため息がこぼれた。


もしかしたらこのまま時間が進むかもと心の中では少し期待していた所もあって、ショックだった。


もう一度戻ったということは、何かをしなければ時間は進まないということだ。


逆に言えば3日でリセットされるのだから、何をしてもいいと言うことなのだが……。


勉強机のイスに座り、背もたれに体重をかけながらどうしたらよいか考えていた。


時計を見るともう9時半を指そうとしている。


「9時半か……。あっ!」


健は思い出したようにおそるおそる机の引き出しを開けた。


中には金色の丸い時計があった。それは紛れもなく、一回目に体験した29日に拾ったものだった。


「やっぱり……」


なぜか時間がリセットされてもこの時計だけは元のところへ戻らずに、健の机の中にある。


やはりこの時計には何かあるのか、と再び深く思って手を伸ばそうとした時、健の後方で着信音が鳴った。


プルルルルルルル!


その音にビクッとして、引き出しを閉めて携帯電話を手に取った。サブ画面を見ると『伸也』の表示がある。