「すみません、包丁を持った人が暴れているので、すぐ来てください!」


「は?」


「だから、殺されそうなんですよ!」


「そんなことで電話しないでください」


「え?!警察でしょ?無責任なこと言わないで!」


「……うるさいなぁ。それ以上うるさかったら、殺しに行くぞ?俺は街の奴等とは違って、銃持っとんねん。ハハハハハ」


雪江は電話を切った。


「健君……おかしいわ!何なの、この世界は!」


雪江と健が息を切らせて歩いていると、一人の男が立っていた。


遠くて、顔は確認できない。


「また包丁男がいるの?!」


「いや……あれは……まさか……」


健は男にゆっくりと近づいた。


「……竜……二……」


そこには、紛れもなく竜二が立っていた。


「竜二!竜二!」