「よ。」
優斗は一瞬目を開いたものの、いたって普通に挨拶。
なのに私は、
「な、何でいるの?」
こんな感じ。
「書類出したからに決まってんだろ。」
おっしゃる通りで。
オーディション情報などは他言禁止だから、もちろんその話を誰にもしなかったわけで。
そりゃ、知らないよね。お互い。
一人納得してしまった私に優斗は苦笑していた。
そのまま優斗から離れた、空いてる席に座って台本を読み始めた。
ーーーーーー・・・
「えー、では名前呼ばれた方から順番に列に並んで、中に入って下さい。」
今回は待合室がないため、長い廊下に臨時で並べられた椅子と、
その奥にソファーが置かれた小さな一角に座り待機している。
そして、呼ばれた人がオーディションの部屋に入るという形式。
今回は、8人づつ呼ばれているみたい。
男子4人、女子4人。
優斗が呼ばれる。
だいたい、事務所でまとまっているはずだから。
おそらくそろそろ呼ばれるだろう。
8人目で呼ばれた。
とうとう私の番。
大丈夫。
台詞は覚えた。
役のイメージもできてる。
心臓の音が聞こえる。
こんなに緊張するのいつぶりだろう。
ゆっくりと深呼吸して。
「おはようございます!」
中に入った。
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