「ごめんなさい。」


小さな声が、聞こえる。


びっくりした。

まさか、神林さんからこの言葉を聞くなんて。



私への気持ちは変わってないと思う。

けど、この事に関しては反省しているみたいだった。






「ううん。

大丈夫。」


私も小さく答えれば、


「ん。オッケ。」

優斗は笑っていた。








「・・・・悪い、皆!

大声だして。」


それまでの空気をかき消すような声に、先生が笑顔で答える。




「はーい、練習再開するわよー!」







静かだった教室は、また元通りになった。




やっぱり、優斗はすごいや。





きっと、神林さんは告白したんだろう。

そして、断られた。



さっきの言葉を聞く限り、そうなんだろうと察しがつく。









「先生、すみません。

戻って来るまで、俺らが出てこないシーンやっててください。」








そう言うと、優斗は私に歩み寄り、手を差し伸べた。




「立てるか?」

「あ、うん。

ありがと。」






手を借りてなんとか立ったものの、


右足に体重をかけると、痛くて歩けない。








「うっし。

しゃーねーな。」





そう言うと優斗は軽々と私を持ち上げた。





「ひゃ・・・・!」


え、お姫様抱っこ!?








「ぶはっ!

何だその声。」




「だって、これ!」



恥ずかしいにもほどがある!





完全に、皆の注目の的。






「おんぶとかだったらお前、絶対乗んないだろ。」





そりゃそうだけど!

恥ずかしいって!





「また噂広まるし!」



「人の噂も75日。

それまでの辛抱だ!」





そう言うとそのまま走り始めた。






75日って・・・・





長いっつーの!