3年生はみんな瞳に涙を溜めて、
僕らの最後の言葉を聞いていた。

伝えたい言葉は溢れるほどあるのに、
少ししか伝えられなかった。

だけど、先輩方に…
届いたのかな?





「それじゃあ……

 次期キャプテンを決めたいと思う」



巧先輩が涙をすすり、こう告げた。






「でもな、残念なことに2年生がいなくなってしまうんだ」







えっ?


部室がざわめき出す。
“なんで?”と声を漏らす者や、
驚いて反応が出来なくなった者が多数いた。

僕もその中の一人だった。






すると、2年生の翔(カケル)先輩と颯人(ハヤト)先輩が前に出てきた。

二人共、申し訳なさそうな顔をしてうなだれている。




二人のうちの片方、颯人先輩が口を開いた。



「俺、実は……

 …愛媛に引っ越します」






ザワザワ……

颯人先輩は2年生の二人の中で、
どちらかというと上手かった。

それに人望も厚く、“次期キャプテン”と早くから騒がれていた。




そんな颯人先輩が……
愛媛に…?!

驚きよりも、信じられないという思いの方が強かった。





「みんな……ごめん…
 本当はこのチームで全国制覇したかった……


 だけど、向こうでもバスケは続けるから、
 全国でまた会おう……!!」





颯人先輩のこれほどまでに哀しそうな顔を見たのは、
これが最初で最後だった。





先輩の告げた、“全国でまた会おう”の言葉。

僕はそれを叶えると、心に誓った。




一緒のチームで一緒にバスケをすることは
できなくなってしまったけれど
僕は先輩とまた再開できると信じてる…


今度は、全国のコートで……!!








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