その小さな罪をひとつひとつ懺悔し、まっさらな状態からスタートするというシステム。実に気の遠くなる懺悔が待っているそうだ。


”ファンファーレなんてラッキーボーイですね~!それでは、コチラを一枚引いていただきましょうか~”


自称天使はどこからともなく白い箱と取り出すと、中身の見えない穴に手を入れるよう促してくる。言われるがまま手を伸ばすと紙を一枚つかむことができた。二つ折りの紙を開くとそこに書かれていたのは『男』の文字。


”はい、また男性へと転生させていただきますね~”


え、性別ってそんなので決まるもん?あっさりと自分の性別が決まったようだが、男と聞いて頭の中はアイツで、いつしか季恵(きえ)のことでいっぱいになっていった。
また季恵(きえ)と出会って、やり直しができるんじゃ…________。


”あ~、記憶も引き継いで転生されますか?少々厄介だったりしますが~”

『当たり前だろ?俺が覚えてなかったら意味ねーじゃん!…てか、なんでわかった…』

”それは~、天使ですからアナタの考えなんて~筒抜けで、どんな気持ちであるかわかりますよ~”


…今更すぎるだろ!?初めに言ってくれ!恥ずかしさでいっぱいになっている自分を横目に、自称天使は持論をぶつけてくる。


”新たな人生なのですから新たな出会いもあるのですよ~?だいたいの方だって忘れてやり直ししますし、それに彼女さんだって覚えていらっしゃるかどうか…”


拳に力が入り、口から勢いよく言葉が出た。


『____季恵(きえ)が俺の事を忘れる訳ねーだろ!!!』


ガキの頃からずっとアイツが好きだった。
家が近所で、気づいた時から一緒に遊んで、仲間だったのがいつの間にか気になり始めて、周りがくっつけようと冷やかしてくるのに腹が立って…でもやっぱり好きで。

やっとケジメをつけたくて告白をしたら、泣いて喜んでくれたアイツになにもしてやれていないまま終わりなんてあんまりだ。