「キリク。」

やわらかな声が響いて、金色の糸が風の中を舞った。

「やあ、ご機嫌はいかがかな?ミス・リジー。」

「来月にはミセスだわ。」

彼女は彼の隣に並ぶと、嬉しそうに笑った。

ふたりは、お揃いの淡い色の衣装を纏っていた。

金の髪には、とてもよく映える白とグリーンの花飾り。

ああ。

そうか、ふたりは永遠をともにするんだ・・・。

とぷん・・・・

彼が彼女を引き寄せたとき、あたしは静かに水面に顔を伏せた。

あたしの場所なんて。

もうドコにもないんだ。

そう心ではっきり認識した途端、なんだか叫び出しそうになった。

だけど、声なんか出ない。

涙も出ない。

ただ、もう、哀しくて。

例えようがないほどに、哀しくて。

あたしは海の奥にその身を沈めた。

寂しくないなんて嘘だよ。

ほんとはこんなにも辛い。

だって、やっと、見つけたの。

ずっとずっとひとりだったあたしにとって、彼・・・キリクはとても大切な人なの。

彼のそばを取らないでよ。

あなたは人間じゃない。

彼にいつでも会うことができる。

彼の名前を呼ぶことも。

あたしには何にもないのに。

リジー・・・・

お願い、彼を帰して・・・・