なんの話をしているの?

あたしは悟られないよう、そっと船のそばに近づいた。

「ところで、あの巨大な花火はどうすんだ?」

「シャルロット家からの贈り物だとよ。なんでも今夜の宴に上げるそうだ。」

宴って、何?

「・・・おーい、お前達!」

その声を聞いた瞬間、あたしの身体に電流が走った。

まさか、まさか。

「ぼっちゃん!」

「ありがとう、お前達も一杯どうだ?」

男達は慌てて半立ちになり、ペコペコと頭を下げた。

「とんでもない、だんな様に叱られますよ。」

彼は金色の髪を風に躍らせながら、ふわりと笑った。

「じゃ、これでも飲めよ。父さんには内緒だぞ。」

投げられた酒瓶をぽすっと受け取ると、男達は嬉しそうに帰っていった。

彼はそのまま柵にもたれると、海風を気持ち良さそうに浴びていた。

あたしは。

陰からそっと彼の姿を仰いだ。

どうしよう。

なんで、こんなに苦しいんだろう。

なんで、こんなに焦がれるんだろう。

どうして。

どうして人間に恋なんて、してしまったんだろう。

どんなに離れていても、強がっていても、いとも簡単に気持ちが引きずられてしまう。

一目その姿を見ただけで、こんなにもこんなにも、せつない気持ちになるなんて。

思ってもみなかった・・・・。

あたしの脳裏に七色のあぶくがよぎり、弾けて消えてった。

ババ様、怖いよ。