次の日、俺は残業で帰りが少し遅くなった。 20時くらいだっただろうか。 ラッシュを過ぎた電車は、人数が少なくてがらんとしている。 俺は立ったまま、暗い街を見つめていた。 家の明かりがちらほらと見える。 大都会ではないので、100万ドルの夜景には程遠いが、まぁ2万3280ドルくらいの値打ちはあるかもなぁ、なんてくだらないことを考えていた、そのとき。 『彼女』がそこに立っていたんだ――。 .