「そういった施設は、犯罪の温床になると言って、
どちらかというと排除して欲しいという要望の方が多いのですが。
しかも犯罪者に住んで欲しいなどと、
失礼ながら、あなたはどこかおかしいのではありませんか?」
「とんでもない!」
若者は初めて声を荒げた。
「私の国には、娯楽施設がいっさいないのです。
そのため、若者は刺激を求めて多くが海外へと移住します。
犯罪者たちも、あまりの退屈さに、皆去っていきました」
「しかし、それは安全で住みよい社会ということでしょう?
完璧な社会だ。
それこそ、人々が求めたやまない理想郷ではありませんか!」
私の言葉に、若者は頭を抱えてうなだれた。


