「いえ、特に質問などはありませんよ。
とてもおもしろい刑務所ではありますが、
わが国には必要ないですね」
この男、何を言い出すのだろう。
むっとしたが、顔には出さなかった。
「それは、なぜです?
良かったら、お聞かせ願えますか?
ひょっとして、
もっと完璧な刑務所を知っておられるのでしょうか?」
そんなわけがないと否定しつつ、
私は作り笑いを浮かべ質問した。
多分、私の成功をねたんで、けちをつけに来たのだろう。
二度と来れない様に、
こてんぱんに叩きのめしてやらねば。
人々の視線が一斉に男に注がれる。
男は、なおも笑顔のまま、飄々と答えた。


