「どうかね、所長。
最近の様子は」
「はい。特に問題ありません。
人間どころか、猫の子一匹脱走できませんからね。
ここの刑務所は完璧ですから。
あはは」
「笑っている場合ではありません。
人間の心のゆるみが一番恐ろしいのですよ。
確かに、私の設計した刑務所は完璧です。
しかし、それを扱うのは人間なのです。
所長のあなたがそうでは困ります。
いつ脱走者が出るかもしれないと、
常に緊張感を持ってもらわねば」
「はっ!
申し訳ございません。
以後、部下にもそのように指導いたします」
「よろしくお願いしますよ。
それと、北側の房にある監視カメラには死角がありますね。
もう一台追加して、360度視界を確保してください」
「はっ!」


