「もしもし?」


「あ、母さん?」


それは、家を離れた長女からの電話だった。


「どうしたの?

なんか元気がないわね」


「それがね、

自分が好きなものが何か

わからなくなってしまって」


他の人たちのように、

長女は私のことを笑ったりはしなかった。


「そっか。

じゃあさ、

今までのことは皆忘れて、

今から好きなものを探せばいいじゃない?」



・・好きなものを、

探す?