こうしてそつのない相槌を駆使して、 私の学生時代は、何の問題もなく ふつーの日々が過ぎ去っていった。 そう、 このもっとも退屈で、 もっとも大切な ふつーの生活が。 学校を卒業してふつーに就職してからは、 この相槌というものが、 さらに重要性を増していった。 私は、小さな会社の事務員として就職したが、 上司のくだらない親父ギャグをさらりとかわし、 婚期を逃したお局様の嫌味もするりとすりぬけ、 話の合わない数少ない同期ともうまくやっていった。