%完璧なケータイ小説%


職員は、大げさにため息をついた。


ため息をつきたいのは

こちらだ。

まったく態度が悪い。

これだからお役所は困る。


「住所から調べましょうか。

住民票と照らし合わせれば

本人確認ができる。

住所を教えてもらえますか」


「ちょっと待ってくれ。

私は引越したばかりで、

住所を覚えていないんだ。」


携帯電話をワンプッシュすれば、

鮮やかな地図が表示される。

携帯電話の番号を覚えないように、

住所を覚えるということは

ほとんど意味を成さなくなっていた。