ピンポーン

「来なくていいっていっただろ。」

「最初に会いたいって言ったの高瀬でしょ。」

「忙しいんだろ。いいって帰れよ。」

「帰らないわよ。話聞くまで。」

「もうないよ。いいから帰れ!」

「帰らない!高瀬一人にしておけない・・」

無理やりドアをこじ開けて部屋に入った。



変わってない―――


家具も何も私が知ってたままだった。



壁の穴―――


それを見つけて立ちつくしてると高瀬が言った。


「それ見て何も感じないわけないよな。」


「塞がなかったんだ・・・。」


「それを見てたら忘れないからな。

初めて女に振られたことを・・・。」


「それって嫌味?」


嫌味じゃなくて・・・憎しみなんだろう。



「で、慰めに来てくれたんだろ。」


急に高瀬が肩を引き寄せて・・・


「なっ・・・なに・・・ちょっと待って。
話も聞いてないのに慰めてって・・・
落ち込んでるわけ?」

なんとかその腕から逃れてベットに座った。


しまった・・・


すぐに失敗に気がついた。


高瀬が隣に座った。