「そうだ、いいこと教えてあげるよ。」

「なんですか?」

なんだろう?私まで興味津々。

「コーヒーを美味しいと思えないから美味しく入れられないって言ってたよね。
でも、美味しい、美味しくないが分からなくても、心を込めたコーヒーは入れられると思うよ。
たったそれだけで、君の入れたコーヒーは勝手に美味しくなるはずさ。」


「気持ちの問題ってことですね。」

「そう、それがどんなに嫌いな相手にだとしてもね。」

高瀬が笑った。

「取り合えず美味しくな~れって入れてみるといいよ。」

なんじゃ?そりゃ?

それでもレナちゃんは嬉しそう。


「あっ、高瀬さんコーヒーですか?」

「うん、入れに来たんだ。」

レナちゃんが、高瀬の手からカップを受け取って

「私入れますね。」

「いいの?ありがとう。」

さっきと打って変わって楽しそうにコーヒーを入れ出した。


まるで高瀬の魔法にかかったみたいだ。


不思議・・・高瀬ってば・・・すごい―――


もっとカッコよく見えてきた。

ばかばか・・・どうするのよ・・・


高瀬はレナちゃんからコーヒーを受け取ると

「ありがとう。じゃあ、頑張って。」

と出て行ってしまった。



・・・・・私は何?


無視なわけ?


レナちゃんはそんなことを気にも止めず結局楽しそうにコーヒーを入れて戻って行った。



取り残された私・・・

何だかちょっと切なかった。

影の相談役も形なしだ。

高瀬の誤解も結局解けないままだし・・・

こんな状態いつまで続くの・・・????